リスク許容度の測り方|暴落で資産がいくら減るか、投資する前に数字で見ておく
「リスク許容度」という言葉を聞いて、「そんなのどうやって分かるの?」と思いませんか?
私も「そんなのどうやってわかんねん!」って思っていました。
でも、あまたの経験をして気づきました。
リスク許容度とは、「いくら減っても続けられるか」と「何年持つか」の2つで測れることを。
正直に書くと、始めた2020年の私は、きちんと計算していません。 その後、口座を見るたびにざわついた年もありました。
そして、投資とは別の場所で、200万円を0円にした経験もあります。(仮想通貨です)
そのときの自分は、明らかに「許容度」を超えていました。
だから今の私は、始める前に数字を見ておくことを勧めます。 この記事では、その見方をお伝えします。
先に結論|リスク許容度は「減っても続けられる金額」と「持てる年数」で決める
先に結論から。
リスク許容度は次の3つを見ておくことで測れます。
投資する前に、数字で見ておく3つのこと
- 投資に回す予定の額を書く
- その額が「3割減った」「5割減った」ときの金額を計算する
- その金額を見て「積立を止めない」と言えるか。言えないなら額を下げる
これに、もう1つ足します。 「そのお金を、何年触らずにいられるか」です。
15年以上持てるお金なら、途中の暴落は「通過点」になります。 3年で使うお金なら、同じ暴落が「事故」になります。
金額と年数。この2つが、あなたのリスク許容度です。
リスク許容度とは|「どれだけ下がっても、やめずにいられるか」
リスク許容度とは、資産が値下がりしたときに、どこまでなら生活と気持ちが持ちこたえられるか、という度合いのことです。
「損をしてもいい額」ではありません。 「減っている途中でも、積立をやめずにいられる額」です。
「リスク」は「損」ではなく「振れ幅」のこと
投資の世界でいう「リスク」は、「損すること」ではなく、「値段が上にも下にも動く幅」を指します。
振れ幅が大きい商品は、大きく下がることもあれば、大きく上がることもあります。 下がる側だけを見るから、怖くなります。

S&P500のような株式のインデックスは、振れ幅が大きい商品です。 だからこそ、長い期間で見ると増えてきた一方で、途中で大きく減る年もあります。
性格診断より、金額で考えたほうが早い
証券会社のサイトには、「あなたのリスク許容度を診断」というページがあります。 質問に答えると「安定型」「積極型」などが出てきます。
目安としては役に立ちます。 ただ、私はあれで「怖いかどうか」は分からないと思っています。
「積極型」と出た人でも、100万円が70万円になった画面を見れば、手が止まります。 逆に「安定型」でも、月5,000円なら平気で続けられます。
怖いかどうかは、性格ではなく、実額で決まります。 だから、先に実額を見ておきます。
過去の暴落で、S&P500はどれだけ下がったか
数字を見るために、過去の3回を並べます。 私が積み立てているS&P500の例です。
リーマンショック・コロナショック・2022年の下落幅
| 暴落 | 期間 | 下落幅(ドル建て) | 元の水準に戻るまで |
|---|---|---|---|
| リーマンショック | 2007年10月〜2009年3月 | 約57%減 | 約4年半 |
| コロナショック | 2020年2月〜3月 | 約34%減 | 約半年 |
| 2022年の下落 | 2022年1月〜10月 | 約25%減 | 約2年 |

一番深かったリーマンショックは、100万円が約43万円になる下落です。 そこから元の水準に戻るまで、約4年半かかっています。
一方、コロナショックは3割以上下がりましたが、半年で戻りました。 「どれだけ下がるか」と「どれだけ長く続くか」は、毎回ちがいます。
「次も同じ」とは限らない
この表を見て、「最悪でも6割減か」と思うかもしれません。 私も、そう思って始めました。
ただし、これは過去の話です。 次の暴落が、もっと深くなる可能性も、長く続く可能性も、ゼロではありません。
数字を見る目的は、「安心するため」ではありません。 「これくらい減っても続けられる額はいくらか」を、自分で決めるためです。
円で見ると、為替で振れ幅が変わる
もう1つ、知っておきたいことがあります。 私たちは円で投資しているので、ドル建ての下落幅が、そのまま円の下落幅になるわけではありません。
2022年は、S&P500がドル建てで約25%下がった年でした。 でも同じ年、私が積み立てている投資信託(SBI・V・S&P500インデックス・ファンド)の円建ての年間リターンは、約-6%でした。
円安が進んだことで、ドルの下げをかなり打ち消したからです。 逆に、円高が進む年は、ドル建てで上がっていても円では減ることがあります。
為替は、下げを和らげることもあれば、下げを深くすることもあります。 「両方向に動く」とだけ、今は覚えておいてください。
自分の数字に置き換える|3ステップ
ここから、あなたの数字に置き換えます。 紙とスマホの電卓があれば、5分で終わります。
ステップ1:投資に回す予定の額を書く
まず、投資に回す予定の額を書きます。 月の積立額なら、それを12倍して「1年分」に。まとまった額なら、その額をそのまま。
この額は、生活防衛資金を「先に残した後」の額です。 残す額の決め方は、前の記事に書きました。
▶ 生活防衛資金はいくら残す?|4人家族・住宅ローンありの40代公務員が「投資に回す額」を決めた手順
ステップ2:3割減・5割減の額を計算する
次に、その額が3割減ったとき、5割減ったときの金額を出します。
| 投資に回す額 | 3割減ると | 5割減ると |
|---|---|---|
| 10万円 | 7万円 | 5万円 |
| 50万円 | 35万円 | 25万円 |
| 100万円 | 70万円 | 50万円 |
| 300万円 | 210万円 | 150万円 |

ポイントは、「%」ではなく「円」で見ることです。 「3割減」と聞いても、何も感じません。 「100万円が70万円」と見ると、手が止まります。
その「手が止まる感じ」を、始める前に体験しておくのが、この表の目的です。
ステップ3:その数字を見て「積立を止めない」と言えるか
最後に、自分自身の胸に手を当てて聞きましょう。
「口座を開いたら、100万円が50万円になっていた。それでも来月の積立は、止めないか」
「止めない」と言えるなら、その額があなたのリスク許容度の範囲です。 「止めるかもしれない」なら、額を下げて、もう一度聞きましょう。
- 「止めない」と言える額:その額で始めていい
- 「止めるかもしれない」額:額を下げて、言えるところまで戻す
- 「見たくない」額:まだ投資に回す段階ではない。生活防衛資金を先に
大事なのは、「損しても平気な額」を探すことではありません。 減っている途中でも、来月の積立を止めない額を探すことです。
私の場合|計算はしていなかった。代わりに「15年以上持つ」と決めていた
ここからは、私自身の話です。全然きれいな手順でもないし参考にする必要もありません。
2020年に始めたとき、「短期で6割減っても大丈夫」と思えた理由
2020年7月、私はつみたてNISAでS&P500の積立を始めました。
このとき、「3割減ったらいくら」という計算は、していません。 代わりに決めていたのは、「これは15年以上、触らないお金」ということでした。
15年以上持つなら、途中でどれだけ下がっても、元の水準に戻る時間がある。 過去の最悪がリーマンショックの約57%減なら、短期で6割減っても持ちこたえられる。
そう考えて、腹をくくっていました。 金額の計算ではなく、年数で許容度を決めていた、ということです。
これは今でも、間違っていなかったと思っています。 ただ、「頭で分かっていること」と「減る数字を見ること」は、別でした。
それでも2022年、口座を見るたびにざわついた
2022年、相場が下がり始めました。 それまで順調に増えていた含み益が、目に見えて減っていきました。
仕事から帰って、寝る前にスマホで口座を開く。 先週より減っている。それを見るたびに、心がざわつきました。
「6割減っても大丈夫」と決めていた人間が、2割前後の下落でざわついていたのです。
正直に書いておくと、私はつみたてNISAで元本割れまでは経験していません。 味わったのは「増えていた含み益が減っていく」ことです。
それでも、ざわついた理由は金額ではありませんでした。 「自分の選択は間違っていたんじゃないか」という不安そのものが、つらかったのです。
数字を先に見ていれば、「これは想定内」と言えたはずです。 その一言があるかどうかで、夜の落ち着きが変わります。
それでも続けられた3つの理由
ざわつきながらも、積立は一度も止めませんでした。 止めずに済んだ理由は、意志の強さではなく、3つの仕組みです。
2022年に積立を止めずに済んだ理由
- 自動積立だった:止めるには「止める操作」が要る。何もしなければ続く
- 生活防衛資金が別にあった:減った投資のお金を、生活のために売る必要がなかった
- 口座を見る日を決めていた:ざわついた反省から、今は月1回、運用報告を書く日だけ
3つとも、「気持ちを強くする」仕組みではありません。 気持ちが弱っても、行動が変わらない仕組みです。
6年で「安くなってありがとう」に変わった
2022年に下がっている間も、自動積立は同じ額を買い続けていました。 値段が下がっていた分、いつもより多くの口数を買えていました。
その分が、あとから一番よく伸びました。 6年続けた結果は、別の記事に年別でまとめています。
▶ つみたてNISAを6年続けた結果|約250万円がほぼ2倍に【売却0回】
いまの私は、下落のニュースを見ても「安くなってありがとう」と思えるようになりました。 最初からそうだったわけではなく、6年かけてそうなっただけです。
リスク許容度を超えるとどうなるか|仮想通貨FXで200万円
ここまでは、許容度の中で続けられた話でした。 次は、許容度を超えた話です。
200万円が、180万、150万、100万、0円になった
2022年、私は仮想通貨FXに手を出しました。 NISAではありません。特定口座で持っていた米国の個別株を売って、その資金にしました。
最初は2〜5倍のレバレッジで、慎重にやっていたつもりでした。 最後は100倍まで上げていました。
200万円が、180万円になりました。 150万円になり、100万円になり、そして0円になりました。
レバレッジをかけたお金は、下がりきる前に強制的に決済されます。 最後は一瞬でした。
減った額より先に、「夜中にチャートを見続ける生活」がサインだった
振り返ると、許容度を超えていたサインは、金額より先に出ていました。
夜中に、何度もチャートを開く。 寝る前に見て、目が覚めてまた見る。
間違いなく、その時は仕事と私生活に悪影響が出ていました。
「お金が減ること」より、「お金のことで生活が変わること」のほうが、先に来ていました。 これが、許容度を超えたときに出るサインだと、今は思っています。
リスク許容度を超えているサイン
- 夜中や仕事中に、何度も口座やチャートを開いてしまう
- 減った数字が頭から離れず、睡眠や仕事に影響が出る
- 「取り返そう」と考えて、額やレバレッジを上げたくなる
1つでも当てはまるなら、その投資は、あなたの許容度を超えています。 額を下げるか、やめるか。相場が戻るのを待つ問題ではありません。
「自分でいつでも動かせるお金」は、許容度を超えやすい
同じ年、同じ私の中で、2つのお金は正反対の結果になりました。
仮想通貨FXのお金は、いつでも自分で動かせました。 その自由を使って、欲と恐怖のままに動き、0円になりました。
つみたてNISAのお金は、毎月自動で買われる仕組みでした。 200万円を失った日も、NISAの口座には一切、手をつけていません。
正直、「強い意思を持って」は無理です。
最善は「判断を自分に任せない形」のシステムを作ることです。
▶ 【失敗談】200万円ぶっ飛ばした地方公務員が学んだ、仮想通貨投資で絶対にやっていけない7つのこと
打ち明けたとき、妻はこう言った
200万円を失ったことを、私は妻に打ち明けました。
もうなんて言われるか考えるだけでもゾッとしていました。(今思い出しても震えます…)
妻はこう言いました。
「やったもんは仕方がない。家族として一緒の舟乗っているんだから」
この言葉に救われたのと同時に、気づいたことがあります。 リスク許容度は、私ひとりのものではなかった、ということです。
減って困るのは、私の口座ではなく、家族の生活です。 「いくらまでなら」は、本人が耐えられる額であると同時に、家族が受け止められる額でもあります。
リスク許容度は「上げる」のではなく「守る」
「リスク許容度を上げる方法」を探す人がいます。 私は、上げなくていいと思っています。
やるべきは、今の許容度を「超えないようにする仕組み」を作ることです。

生活防衛資金を別に置く
暴落のときに一番怖いのは、「生活のために、下がった投資のお金を売らないといけない」状況です。 生活防衛資金が別にあれば、その状況が起きません。
我が家は、住宅ローンの返済を含めた月の支出×約3か月分を、妻が別の口座で管理しています。 私は、その残高を知りません。
積立額は給料から無理なく。増やすのは昇給のとき
積立額は、毎月の給料から、減っても生活が変わらない額にしています。 増やすのは、給料が上がったときだけです。
「相場が好調だから増やす」はしません。 好調なときに増やした額は、下落のときに一番重く感じます。
口座を見る回数を決めておく
私は、月1回、運用報告を書く日だけ口座を見ます。 証券会社のアプリは、スマホの1ページ目には置いていません。
見る回数が減ると、ざわつく回数も減ります。 減った数字を毎日確認しても、できることは増えません。
「何年持つか」を先に決めておく
最後に、年数です。 私は「15年以上」と決めて始めました。
期間が長いほど、途中の下落が「通過点」になります。 逆に、3年以内に使う予定のお金は、そもそも投資に回しません。
「何年触らないか」を先に決めることは、金額を決めるのと同じくらい、許容度を守ります。
リスク許容度が低い人は、投資しないほうがいい?
「計算してみたら、10万円が7万円になるのも嫌だった」 そういう人も、いると思います。
額を小さくすれば、続けられる
答えは、「額を小さくする」です。 月1,000円からでも、投資は始められます。
月1,000円なら、3割減っても1年分で3,600円の減少です。 この額なら、多くの人は「止めない」はずです。
「減らない額」は、存在しません。 でも、「減っても生活が変わらない額」なら、見つかります。
小さく始めて、減る画面に慣れてから増やす。 私の6年も、実際にはその順番でした。
家族と数字を共有しておく
もう1つ、勧めたいことがあります。 「3割減ったら、いくらになる」という数字を、家族と先に共有しておくことです。
私は、投資を始めるとき、妻に反対されています。 そのときの話は、別の記事に書きました。
▶ 「投資なんかせんでも貯金で十分やん」|妻に反対された私が、それでも新NISAを始められた3つのコツ
減ったときに初めて伝えるのと、始める前に「これくらい減ることがある」と伝えておくのとでは、家の空気がまったく違います。 数字を先に見ておく相手は、自分だけではありません。
まとめ|数字を先に見ておけば、暴落の夜に決めなくていい
この記事のまとめです。
リスク許容度の測り方
- リスク許容度は「性格」ではなく、「減っても積立を止めない金額」と「触らずにいられる年数」
- 過去の暴落はドル建てで約25%〜57%減。次も同じとは限らない
- 投資に回す額の「3割減」「5割減」を円で計算し、「止めない」と言える額まで下げる
- 夜中に何度も口座を見るなら、許容度を超えているサイン
- 許容度は上げない。生活防衛資金・昇給時だけ増額・見る回数・年数、の4つで守る
暴落の夜は、人が一番まともに考えられない時間です。 その夜に「売るか、続けるか」を決めなくて済むように、今のうちに数字を見ておく。
それが、この記事で一番伝えたいことです。
数字を見て「この額なら止めない」と言えたら、次は仕組みを作る番です。
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もし、いまちょうど下落の最中で、この記事にたどり着いたなら、こちらを先に読んでください。
▶ 200万円失った私が、NISA暴落でも売らなかった理由|売りたくなったら読む記事
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